2019-06-06

瑞龍寺 富山県高岡市

瑞龍寺画像

 八月の終わりNPO 伝統木構造の会が富山県高岡市で開催されました。数年前の冬に訪れた記憶がありますが今は真夏、冬の駅前とは随分と違って見えます。猛暑の夏に疲れ過ぎていたのかJR伏木駅を出ると何故か呼吸し易く体が軽くなった気がしました。「高岡セミナー」は正午のスタートでした。「まだ2時間以上あるなぁ散策するには陽がきついなぁ」と呟きながら駅前にある案内板の前に立っていました。雨晴温泉・氷見番屋街・今回の会場となる「勝興寺」等々が観光ガイドされていますがこの案内表示で特に目立っていたのが国宝「瑞龍寺」でした。セミナーが終了したら「よしっ!ここへ行く!」と決めたのですが特に確信があったわけではありませんでした。

 雨晴温泉にある旅館が本日の宿。懇親会の開始前、大きくない浴室では歳の近い参加者同士の会話が盛夏を吹き飛ばす勢いで浴室内に溢れていました。それがセミナー関連の話題で盛り上がっているわけではなく氷見漁港を控えた夕食談議に花が咲いていたのです。まるで同窓会か社員旅行なみの明るさに圧倒されましたが、その後の懇親会会場では名刺交換・情報収集をせっせとこなす女軍兵士の姿が印象的でもありました。

 翌朝は8:00から年次総会。その後バスで氷見へと移動、網元の家「濱元家」を見学。明治43年、泊大火災により再建された木造2階建て入母屋でほぼ正方形。内部は三列三段で構成されていて土間・縁で囲まれたこの建物からは網元として栄華を重ねた「人々の熱気」を感じることが出来ました。基本12:00まででセミナー終了ということで担当者からは「希望されれば越中八尾おわら風の盆にご案内致しまぁ~す。予約制別料金ですけど~ッ!」と案内の声が聞こえる中「私は行かない!瑞龍寺に行くんだから!」と天井を見上げました。
 
瑞龍寺画像

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 「瑞龍寺」参道は真直進。4~500mはある石畳が整然と敷き詰められていました。見事なまでに平坦が保たれ、遠くに見える山門が灼熱で揺れて見えます。両側にある家々は今風の建て方ですが何となく余裕のある並びをしているのです。敷地いっぱいの建て方ではなく庭の手入れも行き届いた家屋が並んでいます。400年の歴史が流れた現在も尚、寺と門徒が品位の高さを残す寺町環境を見せています。

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「瑞龍寺」は加賀藩2代藩主前田利長の没後1654年に3代藩主「前田利常」が建立。建築は加賀藩お抱え大工棟梁であった「善右衛門」の作で、山門・仏殿・法堂が一直線に並び左右には回廊がありそれぞれの堂が対照的な伽藍配置になっています。職員さんの説明によれば中国の「径山万寿寺」がモデルになっているとのことでした。1985年に始まった大改修の総経費は23億円で10年を要して完了。その2年後の1997年には寺院・山門・仏殿法堂が「国宝指定」を受け、今は9年をかけての大改修中。現在6年が経過しているのだという。

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山門では足場が組まれ、数人の大工さんが炎天下で黙々と作業しているのが見える。この大工さん達6人は岡山県から来ているのだということも教えて頂きました。棟梁「善右衛門」の技は明日へと繋がれ、参道の家並みはこの先も整然と建ち続けることでしょう。完了まであと3年ですが楽しみにしています。

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