国産のムク材を伝統構法で組んだ家づくりというと、大豪邸やお金持ちの数奇屋建築を思い浮かべるようです。
しかし、どんな木を使うか、どのような関わりでつくるかによっては、一般の人でも本物の木造住宅を建てることは充分に可能です。
木には適材適所があります。無節のヒノキだけで良い家が建つとは限りません。
昔の民家では腐りにくいクリを土台に使うとか、粘りのあるマツを梁に使うとか、その木が持っている最大限の力を活かした使い方をしてきました。
今の住宅だって、何が何でも高い木を使うことはありません。
節や傷のある木も使い方次第では、きちんと家を持たせてくれるのです。
また、家づくりはバランスです。元請け業者の利益のために貴重な予算が使われてしまうのは、家づくりの本質から外れてしまいます。
予算が限られていれば、その範囲内で建て主と各職方が知恵を絞り、対等な関係できちんとした家づくりを目指したいものです。
その過程で築かれた信頼関係も、家を支える見えない大黒柱となるでしょう。