全て国産材

樹林の画像

私たちが扱っているのは日本各地から集まるムクの材。個性のある木を、適材適所に使う提案をしています。

国産材を扱うのは、ふたつの大きな理由によります。ひとつは、経年変化に対する安心です。木は伐られてからも呼吸をし、第二の人生を送ります。この時、周囲の環境が育ってきたところと同じであれば、反りや割れ、縮みといった狂いを最小限に抑えられるのです。

もうひとつ、日本は昔から木の文化を育んできた国です。しかし、輸入外材に頼るようになってから、山は荒れ、文化の継承は忘れられてきました。地球規模で環境破壊が進む今、日本の山の緑を健全に生かしておかないと、後の世代に大きなつけを回すことになります。

声高に立派な主張はできませんが、国産の木を使う提案をすることで、山と町の生活を結ぶお手伝いをしたいと思っています。

使われている材の事を材木師の関橋洋之助さんにお話を伺いました。

Q1. なぜ下草刈りが必要か?

植林は杉・桧・サワラの苗が一般的で約30cm位の苗木が植え込まれていきます。しかし、その周りに成長する雑草の生育のほうが早く、太陽の恩恵を充分に受けることができなくなるのです。植え込まれて2~3年は年2回の除草作業が行われ、周りの雑草類よりも競争力を備えてくる環境を迎えるとこの作業は年1回となり、これを5年ほど続けます。しかし、その中には「蔓・蔦」類の植物が植樹された若木に巻き付き木の成長を止め、木を枯らしてしまう場合があり、これはまめに取り除く必要があります。

Q2. 次は何をしますか?

次の作業は「枝打ち」です。6~10年経過すると、ナタで枝を切り落とす「枝打ち」の作業が行われます。それは上部だけの枝を残した形で整えられていきます。この作業は5~10年経過した後、再度行われます。それからも手入れは続きますが、「15年で成木」を目標に育て、12cmの柱・無節、且つ6~7mの材が出来上がるのです。

Q3. 植林事情

1.5m間隔に植林され、経過と共に「間引き」をしていきます。基本的に農家の野菜栽培と同じ理屈で行われるのですが、「間引き」された間隔、面積は農家のそれとは大きく変わります。植林の場合、広く開いた面積に繁る雑草の量は半端ではなく、それにかかる労力と時間はコストの増大化を意味しています。過去には「間引き」された木々は杭・稲掛け柱などへ利用されましたが、現在はその需要も消え、新たな環境問題「花粉症」の一端を担いでいるのではないか・・・とも言われているのです。

Q4. 「山」の今日・・・そして明日

先日、超有名知事殿が淡々とした調子で「花粉症」についてインタビューに答えていた。花粉の出る木を全伐したらその「病」は無くなるじゃないか・・・と。「花粉の出ない杉を植林したら良い」が対策案であったような気がするが、世の当面現実主義のリーダーはこれ位がベストなのかも知れない。「山」の現実は下界に暮らすリーダーには遠すぎる。杉は日本国じゅうに余っているんだから広葉樹か、需要のあるサワラでも植えて欲しいよね。サワラは50年位で伐採できるんですから。間伐枝打ちをしながら45年も経つと大きく成長した木から切っていきます。業界で価値のある木、柱が取れるようになった木です。それから5年、10年と伐採が始まります。しかし、間伐等手入れのしてある木は現実10%位です。奈良とこの地域はまだやっている。それに近場が果樹園でもあれば虫食いが多く、木には虫が侵入してくるのです。

Q5. 岡部に納品される「木」は何年生くらいですか?

通常出荷される「材」の倍くらいの年月は経っています。70~80年の木です。今までは元木はあまりなく「二番玉・三番玉」だったと思いますが、全部混合で納めています。市場に出すと運賃や手数料が計上されますが、直接取引だとそれらが付加されることがなく、ヘリ集材をしても見合う単価で納めることができるのです。それは岡部さんの顧客にとっても嬉しいことだと思いますよ。媒介のない当事者間の取引ができるので岡部さんの顧客が満足する材料を質・量ともに適時に調達できるのですから。製材する側から「これは良い木だ!」と評価されるということは「建て主」の満足に等しいわけですから・・・私も嬉しくなりますよ。

Q6. 植林する時どんな木になるように育てますか?

もちろん目が詰んでいるのは良いのですが、均等に目詰まりになるように心がけています。そして、中心が木の真ん中に来る様にですかね。均等でないと製材後材が変形しやすいですね。材木屋にとって良い木は「建てる人」にとっても良い木なのですから。

Q7. 「切り旬」っていつ頃ですか?

一番良いのは10月から11月の終わりですかね。絶対に避けたいのは「梅雨」の時期です。この時期に伐採した木には虫が入ってしまいます。この時期さえ守れば一年中虫が入ることはありません。

Q8. 新月伐採が話題になっていますが

気にはしていますが、やはり経験を重視しています。「伐り旬」の時期説は複数あり、山の条件も異なる。「説」にこだわれば伐採後の「葉枯らし」に疑問が生じる。自身の信じた「伐り旬」を通します。外国から発信された「説」を鵜呑みにはできません。

Q9. 葉枯らしの時期というのは?

寺社仏閣の材もこの時期に切ることが多いのですが、9月の終わりから11月までに伐採しています。乾燥の主目的は当然ですが、この時期は「葉枯らし」しなくても虫は入らない頃でもあります。需要に合わせて「ヘリコプター」で集材していますが、「長時間の葉枯らし」は水分が飛び軽くなっているため、ヘリによる搬出が楽なのです。

Q10. 西川材は良いと言われていますがなぜですか?

評判の良さは「吉野材」と並べられることが多々あります。理由として気が育つ土質がよく似ていると言われていますが、「西川材」は植林後の手入れが良いというのが、良い木が育っている大きな原因だと思う。桧では西川・吉野・三重でしょうね。杉は吉野・智頭・高知(簗瀬)・東京・秋田(天然モノ)そしてもちろん「西川」です。

Q11. なぜヘリコプターなの?

間伐の場合に他の木を傷つけません。営林署もその方向でやっています。全伐でやるときはヘリの必要はないと思いますが・・・。各地での「植林」の動きは聞こえてきますが、今尚「全伐」しても植林しないところが多々あります。このツケは必ず来ます。オゾン層の破壊、洪水などニュースに目新しいことではなくなった昨今ですが、もっとキツ~イ「罰」を受ける日はそんなに遠い日ではないような気がします・・・。