可能性の美

木組みの画像

科学的な素材を多用し、人工のエネルギーに頼りすぎた家がシックハウス症候群を引き起こしているのは、皆さんご承知の通りです。
今の時代、あまり神経質になりすぎては生きてくのも困難ですが、この辺りでもう一度、木や土壁、瓦が長い間愛され続けてきたことに目を向けてほしいと思います。

今でこそ、自然素材は調湿作用や肌触り、環境への付加が少ないなどといった長所があると言われていますが、昔の人はそんなことを考えて使っていたわけではありません。
先人達は、地域によって異なる自然環境ごとに、その土地にふさわしい素材を試行錯誤しながら使いこなしてきたのです。

私たちは、昔の人の生きる知恵に学んだ素材の使い方を、現代の家づくりに反映させていきたいと思っています。
また、科学的な材料からつくられた部材は、家の完成直後が一番美しく、後は劣化する一方です。

しかし、自然素材は10年、20年後の経年変化もまた味わいとなります。
住み手と一緒に年輪を重ねていけることも長い目で見た良い家の条件と言えるのではないでしょうか。